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apo (id:MANGAMEGAMONDO) が妄想を吐き出していきます。

キミは電動流しソーメンでイケるか?

ちょっとした用があって、知人S君を訪ねる。「これ、つまんないもんだけどグァテマラ土産ね」とハラペーニョソースを渡すと、「おお、ありがとうございます。じゃあ、コレはいかがっすか?」とヤケに危険そうなパッケージのポテトチップスを勧められる。ウン、たしかに辛いね。でもイケるかも。平気ですか? apoさん、強いっすねー。どうだろ? グァテ帰りでマヒしてるだけじゃない? そういえばね、あたくしも“ぶろっがー”ってヤツになりましたのよ、最近。ホントっすか? ええ!(と胸を張り)、はてなダイアリーで日記つけてますの。“スコーーーーン(頭を張られる音)”

death rain habanero
そんな和やかな会話の最中、お目覚めになったS君の妹嬢がお出ましになる。テーブルの上の封を切られた例のヤバそなポテトチップスを見つけると「あ、コレ、食べたンすか?」と、ブレアの解説をしてくれた。

アメリカにブレアさんって居酒屋のオッサンがいたんですよ。このオッサン、閉店時間になっても酔っぱらいがなかなか帰らないことにムカついて、ある日、『これを全部食えたら何時までいてもイイ』って、もうチリをめちゃめちゃに使ったチキンを出したんですわ。ところが酔っぱらいども、コレを平らげちゃったんですね。キレたブレアさん、もういろんなもんを調合してですね、ついに世界一辛いチリソースを作ったんですよ。ええ、劇薬扱いで。耳掻きの先っちょにちょっとついたのをラーメンに加えたらもう、それだけで食えなくなるほど辛いヤツで。タバスコの6000倍ですから……」さっき、調子に乗ってパクパク食っちまったことを思い出し、胃と後頭部のあたりでヤなカンジの目眩を覚える。

「で、そのブレアさんの作った“ブレア”がね、入ってるんですよ、コレ」と言いながら一かけら口に入れるS君の妹嬢。「うわー、カライカライ」と言いながらコーヒーで流し込んでる。やや心配になってきたapoは袋をチェック。すると原材料のところに「シリカゲル」の文字が。アレ、シリカゲルって食っていいんでしたっけ? 「いやーシリカゲルなんかより、“ブレア”入りってほうがよっぽどヤバイですよ」といかに危険かを説明してくれるS君はたいへんイイ人である。むろん、彼に悪意はまったくない。

そのあともS君の妹嬢をまじえて和やかな会話が続く。
apoさん、今年は流しソーメンやりましょうよ。いいねえ、やろうよ。するとS君、自室へ駆け上がって、瞳をキラキラさせながら段ボール箱を抱えて戻ってくる。そんな兄の姿に、おそらくこの世で唯一の彼の理解者であろう妹嬢がまた解説してくれる。「コレ、USB接続なんですよ、しかも凶悪なことにWindowsだとドライバー入れられて、流れるスピードを自由にコントロールできるんです……誰も取れないくらいに」。「なんでそんなモン、USB接続にしなきゃならないの?」というのはあまりに愚問だった。それにネタ的には新しいものでもなく、もはや“常識”らしい。S君はすでにUSB扇風機に、USBシェーバー……と、ホームオートメーション化を着々と進めており、目下、USB電動歯ブラシの購入を検討中だ。

そうして収集されたいろいろなものが混沌と存在する彼の部屋に足を踏み入れると、唯一の理解者である妹嬢をもってしても、12/31にボブ・サップと対戦した曙のように“落ちて”しまう。くり返すがS君はとてもイイ人である。ただちょっとばかり激しい性倒錯があり、“ロボット”や“アニメ”に対して“起動”してしまうだけだ。収集されたデジタル家電は彼のコスモビジョンの具現化であり、今日もその中に自分が同化することを夢みている。

しかし、妹嬢もapoもそんなS君の将来を心配せずにはいられない。別れ際に「S君も、もういい大人なんだから、正しい愛を知らないといけないわ。犯罪を起こしてからじゃ遅いのだから。そのためには1日1回、あたくしのはてなダイアリーを読みましょう。このページは100%愛情でできていますから。ね?」と軽く強制しておいた。

帰る途中、ブレアの劇辛ポテトチップを坦々麺で胃から押し流しながら、ボランティア精神のあまりとんでもない約束をしてしまったことに気づく。もしかして、変態オタクの性倒錯を矯正するために、毎日この日記、更新しなくちゃいけなくなっちゃったかしら……?

そうだ、気づかなかったことにしよう。

もしかすると、あなたの隣にも、彼のような人物が住んでいるかもしれない。たぶん彼(あるいは彼女)は、とてもとてもイイ人なのだ。ただ、フツーの人とはちょっと違う対象に“起動しちゃう”だけで。