五輪も楽しく……なるか？
こんなにギリシャが攻めた試合はなかったと思う。ポルトガルはもともと“組織的”ではないチーム。何の脈絡もなく誰かが飛び出していって、ヤヴァくなったら、ごちゃっと団子状になって引き上げてきてゴール前を守る。まあ、うまくいってるときは。
試合はもつれにもつれ混んだ。どっちも、出たとこ勝負っていうか、成り行きまかせっているか、気分しだい・ムードしだいっていうかで、攻めたり守ったり、気が向くとカウンターに行ったりするモンで、こっちは気が休まらない。いくら敵陣にいるからって、「攻撃している」とは限らないし、もちろん「優勢だ」なんて言えない。そんなわけで、ほかのギリシャ戦よりずっと、いい意味で退屈はしない。
フィーゴは右サイドのはずなのに、気がつけば左サイド走ってたり、右から左にとか左から右にとか走ってるし、誰が上がってきたかと思ったら、DFのミゲルだったり。それはギリシャも事情は同じで、チェコ戦でゆらいだハリステアスなんてFWのハズなのにゴール前守ってたりする。まだギリシャはいい。でも得点を焦ったポルトガルは、せっかくCKのチャンスを得たのに、敵陣ゴール前で味方同士が重なって接触してしまい、ギリシャの心やさしいゴールキーパーから「大丈夫か？」とぶつかって痛がってるところをスリスリしてもらってる始末。
頼むから、もうちょっと役割分担しようよ、と思うのはアタクシがニッポン人のせいか？
そんな中で、一人だけ計算してたのがいたとしたらデコだ。モリ男が「5本に1本ゴルゴルを決める男」*1なら、デコは転んだら「5回に1回」FKのチャンスをもらう男なのだ、もちろんトッティみたいに死ミュレーションをとられずに、だ。それが、イングランダーズには激しくムカつくらしく、「今日はポルトガルを応援している」と言いながら、「デコー！ このクソ野郎」とまたマジでお下品なヤジを激しく飛ばしまくっている。しまいにはポルトガルの誰がが転ぶと、条件反射で「デコ・ファーーーック！」と叫んであまりにファックファックうるさい。しかたがないので「今の、デコじゃなくて、フィーゴだよ？」と教えてやる。
アタクシが目をつけちゃったせいか、ハリステアス*2はやけに目立つってーか、デキすぎだ。あろうことか、ゴールまでしてしまう。
マズイ、と思った。その通りになった。前の日にたぶん「出してくれなかったらグレちゃうぞ」という意思表示を込めたであろう代表引退宣言をしたルイ・コスタ、チェルスキー行きが決まった美男DFパウロ・フェレイラ(FCポルト)、そして世界でいちばんヘアバンドが似合う美男、ヌーノ・ゴメスを投入したが、ダメだった。
引退表明しちゃったルイ・コスタは、もしかすると、スコラーリが「話し合う必要がある」と言っていたから、あくまでも「引き止められた」という格好で次の代表の試合にナニ喰わぬ顔で出てくるかもしれない。フィーゴはＲマドリに合流したら、苦悩の日々が始まるだろう。
後半、ポルトガルが点を入れないことにイラついた、“スペイン”人(たぶん)の客が、ピッチに乱入した。フィーゴめがけて走り込むと、バルセロナの大型バンダナをフィーゴに投げつけ、なんとゴールに頭から突っ込んだ。あれが、ポルトガルの唯一の“決まった”ゴールだった。
おめでとう、ギリシャ。参加16か国中2番目に安いホテルを宿舎にしていたギリシャ代表は、まさか決勝に残るとは思っておらず、今朝帰りの予定だったそうだ。もちろんホテルも昨夜まで。それで急きょ、スペインが泊まってたブラガのホテルに移り、エア・チケットを取り直ししたという。アテネじゃ、いやいやギリシャ全土で、あと一週間くらい、お祭り騒ぎは続くだろう。
アタクシは、今夜、なんだかやさしい気分になれた。……なあんてのんびりしてる場合ではない。これから、WWEのRAWがあるし、7日にはコパ・アメリカが開幕する。こうしちゃいられない。とりあえず、腹筋だっ！ 思いのままに黄色い声を出せるように。
