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apo (id:MANGAMEGAMONDO) が妄想を吐き出していきます。

グァテマラ日記(17)

旅をやめてしまったら、旅人ではなくなる。

この日の日記はこの1行だけだ。文字が踊っているから、飲んだことはまちがいない。明日がシェラの最後の日になる。すべての予定をやめて、ここに留まっていたい気持ちになってたらしい。ヴァレンタイン向けディナーを一人で食べて、寂しくなったか。鶏のホコンソース煮込み*1はおいしかったんだけど。

留まりたくなったのは、この日行ったモモステナンゴ*2がイマイチだったこともあるかもしれない。ワークショップをやっているサセルドーテ・マヤ*3に会いには行ったのだけど、1日で得るのは無理だった。ホームステイして何かすれば話は別かもしれない。彼は大事な日に大きな遺跡の前でやったセレモニーの話とかはしてくれた、あとマヤン・ホロスコープも作ってくれるそうだ。いろいろと資料ももらった。でもモモステナンゴで刷られているという丸いマヤ・カレンダーも手に入れられなかった。トトよりさらに、ここで神秘にふれるのは難しいらしい。

帰ってたら、ヴィクトリアがまだ起きていて「コーヒーでも飲む?」と誘ってくれた。だけど、ちょっと覗いたら台所の火は落としたあとだったから「いいよ」と答えて、「トトはこうだったよ、モモはこうだったよ」とおしゃべりする。

「アンタは元気だわ。週末のたんびに今日はチチで、今度はトトだ、モモだって。で、このあとはどこ行くの?」
「パナハッチェルへ行ったあと、オンデュラスのコパンまで行くつもりなんだけど、チキムラとかエスキープラスを通って」
エスキープラス、アタシも行ったわよ。あそこはね、宿が高いのよ200ケツァールもしたわ」
「ホント?」
「だって巡礼客が来るじゃない」
「それもそうだ」
「でもね、いくら高くたって気をつけないとダメよ。あそこはね、水の問題があるの」
「水、ないの?」
「そう。お風呂が部屋にあったってお湯が出ない、ってホテルがあるからね」
「ひぇ〜」
「だからホテルにチェックインする前に、部屋を見せてもらって、水が出るか確かめたほうがいいわ」
「そうするー。ねえ、それってダンナと行ったの?」
「そう」
「そういや、昨日、ヴァレンタインデーだったけど、ダンナにカリーニョなテレフォノしてあげたりしたの?」
「しないわよ」
「あら、ダンナかわいそう」
「それは彼の問題で、アタシの問題じゃないわ。でしょ?」

*1:ポジョ・エン・ホコン/Pollo en Jocon:トマティージョという青いプチトマト、ワケギみたいな青ネギのスカリオン、辛味がない唐辛子でピーマンに近いベル・ペッパー、コリアンダー、そしてもちろんチレで作る少し酸味があるややピリグリーンソースのシチュー。

*2:標高2220m/人口7500人の「温泉地(モモスmomos=温泉、テナンゴtenango=〜の地)」を意味する村。通称:モモ/Momo。周辺には温泉が点在し、ケツァルテナンゴからはロトゥンダ(Rotunda)バスターミナルから直通のバスで1時間半くらい。市が立つのは日曜日。

*3:リゴベルト・イツェップ/Rigoberto ItzepのMision Maya Wajshakib Batz