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apo (id:MANGAMEGAMONDO) が妄想を吐き出していきます。

若き日のゲバラにノックアウト

モーターサイクル・ダイアリーズ」の試写を観る。だって、観なくても内容がわかっちゃう911より、ハンサムなヒーローの若いときのほうが断然興味があったんだもの。主演のゲバラ役のガエル・ガルシア・ベルナルはそんなアタクシの期待を裏切らない顔面偏差値の高さでホレボレ。ほんっとにロバート・レッドフォード(プロデューサー)って、美男をみっけてくるのが上手だわ。監督は「セントラル・ステーション」のウォルター・サレス。

まだ伝説にも神にもなってないガエル=ゲバラは、ナイーブでアンニュイで、だけどサングレ・カリエンテなラティーノなワケです。たぶん、パブロ・アイマールが大人になると、こんなカンジになると見た。あ、パブロのほうが年上? まあ、ともかく、同系列の美男であることは間違いない。天使と悪魔が同居してて、ガエルのほうが悪魔度は上かな。ともかく、これだけ条件が揃ったら、スキにならずにいられますかってーの!ってことです。公開されたら、絶対観に行っちゃうンだもんねー。

ブエノス・アイレスのおぼっちゃま医大生エルネスト・ゲバラは、喘息持ちだったので医者を志す。専門はハンセン病。大学に行けるくらいだから、もちろん上流階級で、やっぱりセレブなガールフレンドなんかもいる。そんなエルネストおぼっちゃんが、ポンコツバイクで南米を縦断しようと親友アルベルトとともに旅に出た。読み手としても書き手としてもかなりのものだったゲバラには著作が数冊あるけど、そのうちの一冊が、このときの旅日記『チェ・ゲバラ モーターサイクル南米旅行日記』ISBN:4773897155。この旅日記とアルベルダの手記が原作になった。

アルヘンティーナ、チリ、ペルー、コロンビア、ベネズエラ……。“熱血漢(フーセル)”とあだ名されたおぼっちゃま医大生が、旅していく中で出会うのは、征服され、迫害された民族、思想、文化。それまでの何不自由ない暮らしとは無縁だったそういった存在は、何ものにも変えられない広大な自然とこれ以上変えようのない混沌の中で、苦悩している。それが、ゲバラというやがて伝説になる男の魂に、革命という火がつけちゃうことになるんだけど、夜が明けるのはまだまだまだまだ先のこと。ガエル=ゲバラは“チェ・ゲバラの素”みたいなもので。

伝説になったゲバラが好きで、猛烈にゲバラマンセーしたいんであれば、この映画では物足りないと思う。これはあくまでもロードムービーで、革命とか政治とか思想とかそういうもんに必ずしもどっぷり浸かってるってわけじゃないので。逆にゲバラの知識ゼロでも、ハンサム好き、南米好き、南米旅行経験者なら、思いっきりフォーリン・ラヴできる。「フリーダ」と違って、全編スペイン語だから、ムードが壊されることもない。

撮ってるのが今なんだから、当然なのかもしれないけど、40年代ってカンジがあんまりしないのもアレでイイのよね。なんとなく、今もどこかにこういう“チェ・ゲバラの素”が落ちていそうで、探し行っちゃおかな〜なんて思ってみたりもする。もしかすると、原作者のゲバラはともかく、クセモノ揃いのスタッフがこの映画で描いたのは、そんな夢なのかもしれない。