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apo (id:MANGAMEGAMONDO) が妄想を吐き出していきます。

愛の抱擁、宇宙、大地(メキシコ)、ディエゴ、私、そしてショロトル神


Frida Kahlo
El Abrazo de Amor del Universo, la Tierra (México), Diego, Yo y el Sr. Xolotl
1949

こんな長いタイトルだったのか。ショロトル(ナワトル語で裸、あるいは双子、犬(オセロット)を意味する)は、雷の神であり、また、アステカ族の最高神ケツァルコアトルの双子の弟で、ケツァルコアトルが太陽と金星を表すときの、金星を受け持つ。ケツァルコアトルには実の妹とまぐわって欲望に溺れたことを「もう母とは遠い存在になってしまった」と悔恨するような、ダメなところがあったりするのだが、ショロトルはそんなダメな太陽(ケツァルコアトル)を迎えに行く明けの明星であり、同時に闇を連れてくる宵の明星でもある。昼と夜の境目が、メキシコ(繁栄と没落、あるいは旧大陸と新大陸の文明)を抱く。この絵に描かれるのは、神としてメジャーなケツァルコアトル(生のシンボル)でもなく、ケツァルコアトルをたらし込んだ死神テスカトリポカでもなく、ショロトルでなければならかったのだろう。

ただし、ケツァルコアトルが羽毛のあるヘビの姿で飾り立てられるのとは逆に、神話の中のショロトルは、オセロットの頭を持ち、体は裸の骸骨で描かれる。

この絵はヘルマン・コレクション(Colección de Jacques y Natasha Gelman)に含まれる個人の収蔵品で、常設展示はないらしい。ヘルマン氏はロシアの大富豪で、自分の美貌の妻ナターシャをいろんな作家に描かせてたのがコレクションのはじまり。メキシコ三大画家プラスワンのリベラ、オロスコ、シケイロスフリーダ・カーロはじめ、メキシコ現代美術のコレクションは170点以上にのぼる(たいていが、ナターシャ・ヘルマンを描いてる)。ヘルマン・コレクションについては、プエブラ(メキシコ)の現代美術ギャラリー(Galería de Arte Contemporáneo)で行われた「カーロ、リベラ、オロスコ、シケイロス、そして過ぎ去った世紀の色」展カタログページが詳しい。

■参考
Frida Kahlo's Gallery
http://www.honmex.com/eros/frida/gallery.html
Frida Kahlo & contemporary thoughts
http://www.fridakahlo.it/