D組:ネドヴェド先生、勝ち抜け一番乗り
オランダ×チェコ戦は、本大会予選リーグでTBSが放映を決めた中で唯一、“ウケ狙い”じゃなく、報道意義のあるカードだ。ドイツ×オランダも“因縁の対決”とか言われるけど、group Dが「死のグループ」と呼ばれるのは、オランダ×チェコの因縁もある。加えて、トルコを破って勝ち上がってきたラトビアもいるからね。
ラト×ゲル戦はハイライトしか観なかったけど「そりゃ、もちろんドイツが勝つだろう」という予想を覆し、ラトビアがふんばって引き分けた。ゲルマンは走る姿が相変わらず可憐なクローゼを投入。けど、だめだった。この時点で、ドイツ2分勝ち点2、ラトビア1敗1分勝ち点1。
で、迎えたオランダ×チェコ。序盤の数分にCKから最初のチャンスを作ったのはチェコ。ところがこれが決まらず、速攻かけたオランダがまだ10分も経たないうちに、バウマのヘッドがあっさり決まる。今日は、ゲルマン戦と比較にならないほどパスもつながるし、お互いのサポート体制もバッチリのオランダの猛攻。そして20分ごろ、ファン・ニステルローイもゴルゴル。早くも2-0にして“チェコに勝てない病”は完治したかに思われた。
……のだが、その夢は5分も続かなかった。年は食ってるけどヤング・アヤックスと血の気は変わらないキャプテン、コクーのミスパスをバロッシュがゴール前に持ち込んで、DF2人に囲まれながら、粘りに粘って、最後は電柱コラー(身長202cm)がゴル！ ネドヴェド先生もガッツポーズだ！
……にしても、なんだかおっかないんだよねえ、オランダ。ネドヴェド先生はケガしてるんだから、もうちょっとやさしくネ、っていっても無理だろうし、因縁の対決だから、当たりが激しくなるのはまあ当然っちゃ、当然なんだけども、あまりにもファールが多すぎる。前半だけで、セードルフとヤング・アヤックスのヘイティンガ(まだ20歳)がイエローもらっちゃってるし、とにかく削りに行きすぎ。もうちょっとフツーに止められないのか？ まあ、そのたんびにチェコは、FKかチェコボールでリスタートするわけだから、チャンスも献上してるようなもん。これじゃあ、どんなに猛攻してたってダメなワケで。それにまだ１試合残ってること考えたら、このペースでイエローもらってるってのは、どんなに人材豊富なオランダだってマズイし、後半2枚目もらう可能性だって……。それに引き換え、チェコはやられてもやりかえさない。むしろ、気にしてない、というカンジ。
ハーフタイムのロッカールームで「落ち着けよ」と言われたのか、後半は何となく平和に始まった。よし、これでいいんだよ、退場者は見たくねーからな。試合はボールがびゅんびゅん回って、GKはどっちも大忙し。オランダのダーヴィッツが上がれば、チェコのポポルスキーもゴール前までデバって来る。あっちで電柱とスタムがスキンヘッド・マッチアップすれば、こっちじゃネドヴェド先生とダーヴィッツがユヴェントス・ダービーおっぱじめるし。おー！おー！おー！おー！ どっちもやれやれ！
どっちがゴル決めてもおかしくなかった状況だったけど、モノにしたのはチェコだった。これで同点。ここで焦ったか、またファール劇場が始まって、前半にイエローもらったヘイティンガが2枚目イエローもらって退場。だから、落ち着けってーのに。あと20分はあるんだぞ？ たぶん、オランダのアドフォカート監督もそう思ったんだろう。セードルフに代えて、ボランチのボスフェルト(元フェイエノールトのキャプテン)を入れてきた。そう、このチームには大人が必要。だけど、この交代はゲルマン戦のときやるべきだった、今日じゃなくて。クライファートを出さなかったのは正解だけど、ファン・ホーイドンクは出してもよかった。でも10人になってるから、出せなかったんだろうなあ。
勝ち越したのはチェコ。ファン・デル・サールがパンチしたボールをポボルスキーが受けて、スミチェルが決めた。これでチェコは2-0から試合をひっくり返して快勝。予選リーグ突破を決めた。
2勝して勝ち点6のチェコは、どこより早く予選通過を決めた。最後のゲルマン戦は、もう勝つ必要がない。ゲルマンはチェコに勝たないと予選敗退。オランダは1分1敗の勝ち点1で並んだラトビアと最終戦で潰し合う。でも仮に、ラトビアに勝っても、チェコがドイツに勝たないと予選敗退が決まる。この事情はラトビアもまったく同じなので、もしチェコが勝って、ラトビアも勝てば予選突破もありうる。死のグループでチェコに続き、ガッツポーズできるのはどこだろう？
「ネドヴェド先生、うらやましいね」と声をかけたら、写真のモリ男はやる気十分でベロ出してるからやってくれると思う。今夜は頼むよ、ロシア！ ギリシャに勝ってくれ。アタクシは、ポルトガルとアベックで決勝トーナメントに進みたいのよ。
