[ _e_x_h_a_l_e_ ]

apo (id:MANGAMEGAMONDO) が妄想を吐き出していきます。

グァテマラ日記(01)

機内で「パイレーツ・オブ・カリビアン」を見ている間に朝が突然現れて、薔薇色のじゅうたんの上を飛行機がすべっていった。はじめて飛行機雲を上からみた。

5年ぶりに太平洋を越える。

なまりきった心と体で中米に入る自信のなさから不安になったり、約10時間タバコが吸えずと必要以上にムカついたり、「もう帰れない」とわけもなく怯えることもなく、今のところ大丈夫だ。

グァテマラ入りするにあたってはいろんな路線を検討したのだが、アメリカで24時間過ごすのはイヤだったので、メキシコに泊まることにする。サンフランシスコまでの格安チケットはあったが、グァテマラまでとなるとグーンとお高くなってしまう。結果的に、サンフランシスコ-メキシコシティ間と、メキシコシティ-グァテマラシティ間はメヒカーナ航空本社HPで購入。メキシコ国内で買えない安い設定のはずの周遊チケットを日本で買うより、ネットで買う正規運賃のほうがお安かったからだ。どういうわけなのかまったくわからないが、グルーポ・タカ航空も事情は同じで、しかも乗り継ぎがさらに悪くなる。

しかし、相手はメキシコである。サンフランシスコでチケットを受け取るまでは、やや心配だったものの、あっけないほど問題なく済んだ。何かヤな予感がする。

911以降来ていなかったサンフランシスコ空港はかなり様変わりしていた。入管にはカメラと指紋押捺機がセットされ、誰彼構わず異様に時間をかけてる。かつてののんびりした雰囲気はなく、近未来的な吹き抜けにドーンと航空会社のカウンターが並んでる。さ、とっととタバコを吸って出国しよう。いつも通り、アメリカの土は空港の外30歩ほどしか踏まずに。

と、再びイミグレへ出国手続きに行ってウギャっ! 上着はもちろん、靴まで脱がされ、大の字に立たされてボディチェックだ。デカくて黒いネーちゃんに「リラァーックス!」と恐喝された可哀相な小動物は、「そんなの無理ですよ。ウヘウヘウヘ」と震えながら青い薄笑いを浮かべる。そんなapoの目の前でスーツケースの中身を片っ端から、ものすごい勢いで乱暴に全部開けていく黒いネーちゃん、突如「これはナニ!!」と目ン玉をヒン向いて、apoの顔の前にまゆ用のカミソリを突き出す。アンタのほうがコワいですってば。没収? ハイハイ、よろこんで差し上げます。でも、これでどうやったらハイジャックができるっていうのです!? あなたにならできるかもしれませんが、わたしにはムリです、と言いたかったがもちろん言えるはずもない。防犯はわかるが、もう少し、あとちょっとだけ人間扱いしてくれないもんだろうか? 扱っているのは他人のもの、という配慮を求めるほうがそもそも間違っているのか? ここでは。 

次回はアメリカに上陸しないで中米に入る方法を考えたい。

苦渋の出国審査が終わり、“メキシカン・バー”という名のコジャレたバーでビールを頼んだら、パスポートの提示を求められる。コギャルはツラい。さらにツラいのはパスポートの生年と顔の造作をまじまじ見比べられて、「へぇ〜〜〜〜」と言われることだ。「ホレホレ、シワのチェックをしなさいな」と軽く煽ってみる。実に疲れる5ドルのビールだ。

11:48am、晴れて離陸。両隣のメキシコ人男性が揃って十字を切った。アメリカでいちばんapoにやさしかったのは、この飛行機のキャプテンだ。着陸がアメリカ人と思えないほどジェントル・タッチだった。でもできることなら2度と来たくねーよ(できないけど)。

夕方、時計の針を進ませて、メキシコシティに到着。空港の建物に入るや否や、すぐ灰皿もビールもあるよう(感涙)。即座にどっちにも手を出したapoにテキーラ売りのおっさんがウインク(ま、買ってほしいだけなんだろーけど、スマイルもウインクもこの国ではタダですからいただけるものはしっかりいただく)。

ああ、ビバ・メヒコ! 一気に疲れが溶けていく。